「不幸の家」と呼ばれる家に暮らす、あるいは暮らした人たちの物語
オムニバス形式なんだけど、現在暮らしていく住人から遡って新築の一番最初の住人まで辿っていく形式が新鮮でした。
主人公は基本的に不幸
- 美容院を開店しようとするも、「この家は不幸の家」と教えられてしまった女性
- 長女が家出、女性を妊娠させる長男、家庭を顧みず浮気している夫と暮らす家庭崩壊しそうな主婦
- 男や旦那に捨てられた女性二人(とその子ども)
- 不妊治療をするも効果がなく、とうとう離婚を切り出してしまった男性
- ろくでもない男とその子どもと暮らす、かつて家族に捨てられた女性
と、書いててなんだか暗い気持ちになってくる人たちが時代を遡りながら登場します。彼女や彼たちがどうやって問題を解決し、家を出ていくのか(最後の住人以外)を読んでいくのが面白いです。
隣人のおばあさんがキーパーソン
大体のお話において、信子さんという隣の家に住んでいるおばあさんが出てきます。おばあさんは直接彼女や彼たちの悩みを聞きながら、解決するわけではないですが、自分の思い出や気持ちを通して「不幸の家」に住んでる住人たちに考え方を変えるきっかけを与えていきます。
信子さんが、最初のヒロインに「しあわせは人から貰ったり人から汚されたりするものじゃないわよ。自分で作り上げたものを壊すのも汚すのも、いつだって自分にしか出来ないの」と言うセリフがあるんだけど、私も大好き。
ラストで現代とつながる
新築の頃にまで話が遡って、どうなるのかなと思ったのですが、最後に現代と話がつながります。この本の最後は「数分後、裏庭で笑い声が起きた」で終わるんだけど、めちゃくちゃあたたかい気持ちになります。
まとめ、全人類に読んでほしい
特に、なんかちょっといいことなくて不幸や…って人に読んでもらって、最後は私と同じであったかい気持ちになってほしい、そんな本でした。