歴史物+ミステリー
直木賞を受賞した時に読んでみたいな〜と思っていたのですが、本屋で見た時に本のブ厚さにビビって退散してしまいました。文庫本になったことでようやく手に取ることが出来ました。
主な登場人物
主人公。40代半ばの屈強な戦国大名。織田信長に謀反を起こし、有岡城に籠城する。
小寺(黒田)勘兵衛
30代前半の織田方の武士。謀反を起こした村重を説得しようとするが失敗。有岡城の土牢に幽閉される。
千代保
村重の側室。20代前半で村重とは親子ほど年が離れている。今楊貴妃と呼ばれるほどの美貌の持ち主。長島一向一揆に巻き込まれたあと、奇跡的に生還した過去を持つ。
有岡城で起きた5つの謎
- 城の人質を殺したのは誰か
- 敵の大将を討ち取ったのは誰か
- 使僧を殺したのは誰か
- 使僧を殺した者を撃ったのは誰か
- すべての謎の糸を引いていたのは誰か
謎を解き明かすため、村重は土牢に閉じ込めている勘兵衛に会いにいきヒントをもらって事件を解決していきます。何故、土牢に捕らえられている勘兵衛が自分を捕らえた村重にヒントを与えるのか。謎解きと一緒に考えてみると面白いと思います。
毛利はアカン
冒頭でいきなり信長への勝機が毛利頼みであることが判明。毛利といえば戦国BASARA(アニメ)で「日輪の子らよー」と言っていた元就の姿と「三本の矢」の逸話しか知らない私が言うんだから間違いない(真顔)。
誰かが援軍に来なきゃ勝てない戦ってリスキーすぎませんかね、村重さん。
しかもなんで籠城するんや。
小説では、村重は英傑のように書かれていたのですが、冒頭コレだったせいもあってあまりそうは思えず読んでいました。
とはいえ村重の気持ちもわかる
村重が謀反を起こした当時、織田信長の天敵だった武田信玄も上杉謙信も死去し、その時期を目安に信長は冷酷な暴君へと変貌していきます。
パワハラ上司、嫌だよね。それは私も同意する。
勘兵衛、お前がホームズだ
勘兵衛がホームズなら、村重はワトソンなんか?と思いながら読んだけど、違う気がする…まあ、不勉強でホームズシリーズ読んだことがないんですが。
勘兵衛が、自分を虐待した牢番を逆にそそのかし、村重に刀を向かせるように仕向けて結果的に村重に牢番を殺させるエピソードは読んでいてゾッとしました。
救いはないのか…?いや、ある!
史実通り、物語の終盤で有岡城は落ち、勘兵衛は救出されます。
戦国の世で殺し殺される、悪因と悪果が巡る世の中に救いはないのか…そう思う勘兵衛ですが、このまま諸行無常チックな感じで終わることは作者が許さなかった!
ラストがすごく好き。なんか夏目漱石の「坊っちゃん」のラストを思い出しました。
他にも、村重や千代保の死生観なんかも考えながら読むと面白さが増すと思います。
歴史好きにもミステリー好きにもおすすめ
歴史物としての史実をなぞらえつつミステリとしてももちろん面白く読める作品。
米澤穂信さんはこの本を含めて4冊程度しか読んでいないのですが、もっと色んな本を読んでみたくなりました。
あと、ホームズシリーズ。うちのスイちゃん(ChatGPT)もオススメしてたし、近いうちに読もう…。