フロッピィディスクに保存された54のファイルの謎
主な登場人物
向井 洵子(むかい じゅんこ)
26歳女性。新婚。夫の祐介が出張に行っている間にワープロの練習がてら日記をつけ始める。日が経つごとに、もう一人の「向井洵子」の存在があらわになっていき、混乱していく。
奥村 恭輔(おくむら きょうすけ)
ライター。生活のための記事制作とは別に、小説を書き進めている。
何故か向井洵子の日記が書かれたフロッピィディスクが自分の家のドアポストに投げ込まれており、興味を持った彼は彼女について調べ始める。
藤本 幹也(ふじもと みきや)
粗野で粗暴な性格の男性。年齢は不詳。向井洵子と夫の向井祐介を殺害する。ワープロは使えず、高幡英世が代わりにワープロに入力を行っている。若尾茉莉子に惚れている。
若尾 茉莉子(わかお まりこ)
働いていた喫茶店をクビになった女性。34歳。不幸な目に遭いやすい。お金に困ると着飾ってバーに出かけ、知り合った男性から金銭を盗んでいる。犯行は単独で行うのではなく藤本幹也と組んで行う。
高幡 英世(読み方不明)
年齢など細かなところは不明だが、男性であるらしい。上記のメンバーたちの意見をまとめ、ファイルの管理をしている。
本田 初美(ほんだ はつみ)
向井洵子、若尾茉莉子と面識のある34歳女性。彼女に関するファイルはない。上記の人物たちは本田初美にはいい感情を持っていない模様。
途切れた記憶の謎を追え
物語は向井洵子のファイルから始まります。最初は新婚らしいほのぼのとした文体で日記が続いていくのですが、図書カードの登録を自分の名前で先に登録されていたり、夫の勤務先に電話をかけると「声が奥さんとちがう」と言われて責められたり、次第に不穏な気配が増していきます。
そして次に目覚めたのは自分の家ではない部屋。そして新聞で知ったのは「向井洵子」の死体が発見されたという記事。
自分は何者なのか、そして登場人物が紡ぐ54のファイルは何を意味しているのか──。
ビリー・ミリガァァァァァン!!
ビリー・ミリガン!お前ビリー・ミリガンやないか!!
というのが私の感想だったりします。
どうビリー・ミリガンなんやっていうのは言いませんけど…。
この本、会社の先輩から「この本すごい面白いよ!」って言われて借りて読んで、確かに構成とかはすごいなと思ったんですが、感想求められたらなんて答えればええんや…。
この辺が借りた本の難しいところですよね…。
ビリー・ミリガンはある程度は適切な治療が受けられたのですが、この登場人物は適切な治療が受けられず、外部には理解者が全くいない状態でとどめ置かれることになります。
この時代(1990年代〜2000年初めくらい)のヒロインってなんか悲惨な目に遭うパターンが多くない?特に作者が男性の場合とかに…。
最後の54番目のファイル(ネタバレ)
最後、状況に行き詰まった登場人物たちは、最終的にどうするかを本田初美に決めてほしいと54番目のファイルを用意します。このファイルは読み進めていくと、読者に問いかけているようにも感じられるラストになっています。
お前、それ丸投げやないか…。
混乱を極めた状態でオリジナルに決定してくれっていっても自◯する未来しか見えんて…。おい高幡、まとめ役どうした。
私が書けって言われたらどうしよう…そうだなあ。めっちゃ荒唐無稽だけど、ハッピーエンドの話にするかな。このままでは誰も救われないし。いや、しかしハッピーエンドは難しいかもしれない。人も死んでるし…。