石垣は誰を守るのか
主な登場人物
飛田 匡介(とびた きょうすけ)
主人公。織田信長の朝倉攻めで家族と故郷を失う。落城の最中、源斎(げんさい)と知り合い、石工の道を歩む。石積に関しては秀でた才能があり、30歳の若さで副頭に。本人曰く「石の声が聞こえる」とのこと。
飛田 源斎(とびた げんさい)
石垣造りを生業にする穴太(あのう)衆、飛田屋の頭。卓越した技術を持ち、周囲から「塞王」と呼ばれている。一乗谷城で匡介を助け、近江まで連れ帰る。飄々とした性格。映画化するなら大泉洋さんに演じてほしい。
京極 高次(きょうごく たかつぐ)
ヒロインその1。戦国の世において強さを誇示せず、外部からは蛍大名と揶揄されるが、名門の出ながら、人を身分で差別することをせず、家臣全員に愛される。転生したかタイムリープしてきたとしか思えない。個人的にめっちゃ好き。
京極 初(きょうごく はつ)
ヒロインその2。高次の妻で秀吉の側室、淀君の妹。高次と同じ天真爛漫な性格だが、二度も落城の憂き目にあった過去を持つ。
国友 彦九郎(くにとも げんくろう)
鉄砲造りの名門「国友衆」の職人。匡介のライバル。最強の鉄砲を作り出すことで、戦国の世を終わらせることが出来ると信じている。
上巻では背景や穴太衆の紹介、下巻では決戦
物語は織田信長による朝倉攻めの場面から始まります。織田が攻めてくる中で逃げ惑い、家族と離れ離れになってしまった匡介はが源斎に出会い、才能を活かして「最強の石垣」を作るために邁進します。
上巻では穴太衆や国友衆がどういった仕事をしているのか、また、飛田屋で出てくる人たちの紹介などが丁寧に描かれていて話に入りやすかったです。
まあ最初、落城のシーンからいきなり20年経ってアラサーになった匡介が現れたので読んでてめっちゃ驚いたのですが。
後半は、高次が治める大津城をめぐって、匡介と彦九郎の対決が描かれます。
高次と初のダブルヒロイン
それまではめっちゃシリアスなシーンが続いていたのに、高次が出てくるシーンだけ全然ちがう。高次、ドジっ子ヒロイン適性&人たらしのスキルレベルが高すぎる。この辺、「そうせい侯(公)」と言われた毛利敬親がモデルなのかな〜。締めるところはしっかり締めたりとか。
この人のおかげ?で読むのがとても楽しかった(笑)
初も、持ち前の明るさと美貌で飛田屋と民衆をメロメロに。絶対こんなんダブルヒロインやん。
【ネタバレ】最後はちょっと地味・・・
まあ匡介の仕事上仕方ないといえば仕方ないのですが、最後は匡介対彦九郎になり、ひたすら鉄砲で攻撃する彦九郎と、ひたすら防衛する匡介との戦いになります。周りの武将関係ねぇ…。
まだ大津城では他の武将や高次、他の人々の働きがあるのですが、国友衆が属する毛利側は空気感すごかった。
北方謙三さんとの対談も面白い
小説も面白かったのですが、巻末で今村さんと北方謙三さんの対談があり、面白く読めました。私は北方謙三さんは「なんか怖そう」で読んでない(すごい理由…)のですが、北方謙三さん自身はとても思いやりのある人なんではないだろうか?と対談を読んで思いました。北方謙三さんの本も読んでみたいけど、ハードボイルド苦手だからなあ…。