スモールワールドin仙台…なのか?
伊坂幸太郎さんの小説っていったら仙台が舞台のことが多いのですが、この小説では仙台の名前は出てこなかったように思います。珍しい。
主な登場人物
トム
灰色の毛を持つオスのネコ。王様が治める中世っぽい国で自由気ままに暮らしている。人間の言葉が分かり、度々話しかけたりもするが、人間にはネコの言葉は分からない。
「私」
仙台からトムの過ごしている世界にたどり着いた人間。職業は公務員で、株取引が趣味。妻に浮気されて意気消沈で釣りに出かけた際、ボートがひっくり返り、気付いたらトムが住む世界にいた。なぜかトムの話す言葉が分かる。
戦争に負けた専制国家
ネコのトムくんが暮らしている国は、専制君主の王様が治める小さな国。中世ヨーロッパ風の舞台なのか、銃もない世界のようです。
隣国の「鉄国」と戦争をしていましたが、今回鉄国に負けたと知らされます。王様は「逆らわなければ大丈夫」と国民をなだめますが、その王様が真っ先に帝国の兵士に射殺されてしまいます。
「クーパーの兵士」が待ち望まれる
「私」が紛れ込んだ世界には「クーパー」というモンスターがいて、10年前までは定期的にクーパーを倒す部隊が編成されていたようです。部隊はクーパーを谷底に落として倒したあと、クーパーの体液を浴びて透明になるのだとか。
敗戦し、王様も殺されてしまった絶望的な状況で、人々は透明になったクーパーの兵士が助けに来てくれるのではないかと希望を持つようになります。
ネコが自由気ままに出入りする
トムくんが住んでいる国は、飼い猫とか野良猫の区別がなく、ネコが自由に色んな家を出入りしています。餌は人間からもらっているらしい。そんな世界だったらネコ缶常備やん。
人間はネコがが人間の言葉を理解できているとは分からないのですが、トムは色んな家を回って情報を集め、成り行きとは言え馬に乗り、「私」に出会うことになりました。
「私」とトムくんの運命はいかに…!
伏線回収が鮮やか
クーパーと戦った兵士が透明になったあとどうしてたのかとか、鉄国の兵士が王様はすぐ殺したけど、町の人たちにはあまり暴力を振るわないのが疑問だったのですが、読んでいくうちに謎が解けました。
ただ、ラストでトムくんが主人公に帰るように促すシーンがあるのですが、もし主人公が帰ったあと、トムくんはどうやって国に戻るのか?とちょっと疑問が残りました。国の外をかなり歩いて迷いまくったあとの会話だったので。
「私」の舞台が仙台なのかどうかが結構気にかかる〜。