芸術家のアートを愛した女性たちの物語
4人の芸術家と4人の女性
4人の女性を通して見た印象派の画家とアート
この本に出てくる女性は、画家と特別な関係にあるわけではなく、家政婦や友人や継子だったりと様々。その彼女たちから見た画家の姿とアートが語られる形式になっています。
この花をこの花瓶に活ければ、先生が恋をなさるのではないかと
「うつくしい花」で家政婦のマリアがマグノリアを花瓶に活けた際、マティスに「どうしてその花瓶を選んだのか」と聞かれたマリアの言葉。
文章がオシャレすぎて死ぬかと思ったわ。
この本は文体が語る女性ごとに変えられていて、どれも素敵なのですが、特に「美しい墓」でマリアの言葉は語彙が豊かで美しい。
上記の言葉以外にも「今までにロザリオ礼拝堂へいらしたことがある? あら、ないんですのね。だったら人生の「楽しみの箱」が一つ、まだ開けられずに残っているようなものよ。」という言葉があり、「楽しみの箱」っていい言葉だなあと感動しました。
私だったら「え?行ったことないの!?人生の半分損してんで!?」と余計なお世話や!💢と突っ込まれるくらいのことしか言えない…。
タンギー爺さん
この話は女性が画家とアートについて話すのが基本の話なのですが、タンギー親父の娘さんが語り手の話は、(自分の父親の)タンギー親父があなた(モネ)の帰りを待っていますよ、という内容の手紙で進められていきます。
タンギー爺さんは、同じく原田マハさんの小説でも度々出てくることもあり、私は勝手に親近感を感じていますw
タンギー爺さん、芽が出ていない芸術家の卵たちの絵を絵の具代と引き換えに引き取り、画家たちに理解を示す。無償の愛すぎる。そしてタンギー爺さんの死後、印象派の絵画が二束三文でタンギー爺さんの手元を離れて行ってしまったのが切ない。
日本だったら絶対、芸術の神様として祀られてるよ!
原田マハさんが紡ぐ言葉を通して見るアート
原田マハさんのアート小説が好きな私ですが、実際に美術館に足を運ぶのかというとそういう訳でもなく。昔は「芸術に触れよう!」ということで実際に美術館に行ったりもしていたのですが、作品を前にしても「おお〜すごい」と語彙力0の感想しか出ない。人混みで疲れちゃうっていうのもあるんですが。
そんなアート音痴な私に、原田マハさんの言葉は絵画にも似た眩い言葉でアートの良さを教えてくれる。私が「おお〜何かすごい」の「何か」の部分を説明ではなく感動をもって教えてくれる。
そしてアートの素晴らしさと一緒にドキドキさせてくれるストーリー。うん。読まない選択肢はないな。