生きづらさを抱えて生きる人たちのお話
仕事のことで悩んでいた時に買った本。すぐ読めばよかったのですが、読むまでに半年以上かかってしまいました。
主な登場人物
呉田 奈月(くれた なつき)
医療事務で働く36歳女性。元看護師。友人や恋人が全くおらず、職場でも浮いた存在。失敗や物忘れが多く、仕事ではミスばかりしている。生きづらさを解消しようと「生きづらさを克服しようの会(通称生きづら会)」を立ち上げる。
郡山 雄太(こおりやま ゆうた)
奈月が働く病院で清掃アルバイトとして働く29歳男性。人の輪に入れず、中学の時に不登校になる(大学は出ている)。髪が薄く若い女性からは毛嫌いされている。風俗通いで借金がかさみ、家を追い出された。家事が得意。
呉田 薫(くれた かおる)
奈月の従兄弟。スーパーで働く45歳男性。元整形外科医だったが准看護師に対する強制わいせつ罪で逮捕され、病院を免職になる。基本的には冷静な性格。生きづら会のリーダー的存在。
近藤 茜(こんどう あかね)
薫の妻の友人。42歳女性。お金持ちの夫に二人の子ども、自身も主婦モデル兼パンブロガーとして活躍するなど完璧な人生を送っていたが、知り合いの高級腕時計を盗んで捨てたことがバレて全てを失う。虚言癖がある。
呉田 徹(くれた とおる)
奈月の兄。39歳。中学生くらいから引きこもっている。奈月たちと顔を合わせようとせず、当然生きづら会にも参加していない。
「生きづら会」とは
奈月の登場人物紹介で書いた通り「生きづらい」と思う気持ちを誰かと分かち合いたいと思った奈月が立ち上げた自助グループ。月に2回開催。
最初は雄太が奈月に一方的に気持ちをぶつける会になっているのですが、後に薫が参加し、会の方針を整備していきます。基本的に話し手は自分の悩みや苦しみを話し、聞き手は口出しも否定をせずに話を聞くことが条件です。
奈月と雄太のエピソードが刺さりすぎる
陰キャのトラウマを確実にえぐってくる。
なぜか人の輪に入れない。面と向かって悪口とかを言われるわけでもないけど気づいたら浮いている。言われたことをやってるつもりなのに「そうじゃないんだよなあ…」って雰囲気になる。グループチャットで何か書いても私だけ誰もレスが来ないとか。帰り道同じ方向なのに「お疲れ様でした〜」と先に歩いていかれるとか…。
まあ…何かやったんやろな(諦め)
こういう隙自語りするところがダメなんだろうか…(でもここは私のブログですし)
物語の中ではみんな悩みを話しながらも前に進んでいく感じだったけど、私が「生きづら会」に入ってたら絶対どっぷり依存する自信あるわ。
雄太と奈月は結婚・恋愛相手がほしいっていうのが望みだったのに、特に恋愛関係に発展するわけでもなく。こいつらは何でくっつかんのか?と思いながら読んでました。まあ、奈月のほうが年上だけどさ〜。
私の感覚が昭和すぎるんだろうか…。
奈月の兄、徹について
徹はずっと2階の自室に引きこもっていて、お風呂も4人がいない時を見計らって入るなど、徹底した人嫌い。もちろん「生きづら会」にも参加はしないのですが、後半にかけて徹にも変化が訪れます。徹に一体どんな心境の変化があったのだろう。
一番すごいのは自分で自分の気持ちに折り合いをつけて、過去のしがらみを許した徹かもしれない、と読み終えた後考えてしまいました。
でも薫、お前はダメだ
あくまで個人的にですが。
強制わいせつされて精神的に病んでしまって会社に行けなくなった被害者の気持ちを考えると無理すぎる。「いつか謝りたい」とか言ってたけど、絶対に行かないでほしい。
「死にたい」は「生きたい」
ラストで「死にたい、死にたいよ〜」と叫ぶシーンがあるのですが、私には「生きたい」と聞こえました。メンバーの性格的に、これからも生きづらい日々が続きそうですが「生きづら会」があれば乗り切っていけるのでは?と思わせるラストでした。
どうでもいいけど、このタイトルをGoogleさんで検索すると「こころの健康ダイヤル」が出てくる。そしてロボくんにこの本の感想を話そうとしたら「このコンテンツは利用規定に禁止している可能性があります」と警告されました。ちゃうねん。