なぜアナタは日本の政治に絶望するのか
- 金権腐敗政治
- 決められない政治
- 官僚主導の政治
- 隠蔽体質&ご都合主義
などなど…。
この本は、本を読んだ人が日本の政治に絶望する理由が正しいのか間違っているのかを診断、その真の目的を抽出し解決策を提示する内容になっています。
第一部、政治改革挫折の歴史
戦後からの政治の流れなので、ほぼ自民党の歴史になっています。
まとめると大体下記のような感じになると思います。
中選挙区制で自民一強の下、派閥争いが激化。金権腐敗政治が進む
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1974年、三木武夫内閣発足。政治資金規正法と公職選挙法改正
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1976年、ロッキード事件。田中角栄は逮捕。自民党を離党するが次の選挙でトップ当選。以降闇将軍として政界を牛耳る。
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1985年、竹下登「創政会」を発足。事実上のクーデター。田中角栄は脳卒中で政治生命を失う。以降は竹下が1999年の引退あたりまで政界を牛耳る。
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1990年、湾岸危機。クェートに侵攻したイラクに対し、国連が多国籍軍を構成したが日本は憲法9条を理由に参加せず。取り急ぎカネだけ出して世界に呆れられる。
金権腐敗政治だけではなく、国際感覚の欠如も浮き彫りに。
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1992年、金丸事件。5億円のヤミ献金(政治資金規制法違反)に対し、逮捕も事情聴取もなく、罰金20万円のみ。
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政治改革、新党ブーム。
1994年、細川内閣にて公職選挙法が改正。小選挙区制の導入へ。
小選挙区制を導入したはいいものの、幹事長の公認権が絶大になり議員がサラリーマン化。
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2009年、待ちに待った政権交代。だけど経済や国防、公約違反(事業仕分けの失敗、高速道路無償化ならず、子ども手当の不備など)の問題が噴出し、後に「悪夢の民主党時代」と言われるほどに。
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2012年、第2次安倍内閣発足。政権が自民党に戻る。
以上、自分で調べたことも織り交ぜてなるべく分かりやすいように書いてみました。
元々は国民を「餓死させない」「戦死させない」目的で結成された自民党。いつの間にか経済も国防も放り投げ、権力闘争に明け暮れる集団になってしまいました。賞味期限がとっくに切れているのに、代わりになる政党がいない。
第二部、あなたが日本の政治に絶望する十の理由
第二部では、多くの人が考えているであろうと思われる、日本人が政治に絶望する10の理由が書かれています。
このうち1〜5までは、竹下登までの金権腐敗政治に比べたらだいぶ良くなったんじゃね?と書かれています。
1の政治とカネの問題は、リクルート事件で「5年後に見直す」と言われていた企業団体献金が30年以上経った今もそのままになっているのでどちらかにすべき、と書かれていますが。
むしろ問題なのは6番から。
政策立案能力がなく官僚に頼りっぱなし、セレモニーと化した国会。議員の質が悪い参議院。与党になる気がない野党、時間がかかりすぎる自民党の出世システム。
本当に問題なのは選挙をやる意味のない政治。
解決策:マトモな近代政党を2つ作る
近代政党ってなんやねん、との疑問が出てくるかと思いますが、作者が思う近代政党を満たす条件とは下記の3つを兼ね備えた政党。
- 綱領
- 組織
- 議員
党全体を規律する理念を綱領にまとめる。
「政治に関心のある普通の人」を集めて党員になってもらい、党員の意見が反映される組織を作る。シンクタンクを作って官僚に対抗できる政策を作る。
アメリカだと、党員が候補者を選挙区ごとに選挙で選んでいるそう。
イギリスは優秀な学生を育てて鉄板の選挙区で当選させているのだとか。
逆に、国民の側からは「こういう政治をしてほしい」と要求を明確にする。
なんか、こう書いただけでも茨の道だな〜って気がしなくもないですが。
面白いエピソードも結構ある
ここまで要約した内容を自分なりにまとめましたが、議員ごとのエピソードが面白かったりします。
特に、この本で全編に出てくる三木武夫と、浜田幸一ことハマコーさん。
昭和前半の政治家は豪快だな、という印象でした。今なら絶対政治家にはなれないな(笑)