なつくの気まぐれ日記帳

いろいろ起こったことや感じたことを書く雑記ブログです。

【小説】ティアムーン帝国物語11

 

あらすじ

  • ミーア、小驪(シャオレイ──騎馬王国の令嬢)と馬合わせ
  • シュトリナが誘拐される
  • ミーアたち、シュトリナを助けに「蛇」の本拠地へ
  • ベル、未来へ還る
  • 第四部 その月の導く明日へ 完

やっぱり見どころ、馬合わせ

馬レースは5巻でもやっているのですが、今回は騎馬王国で第13番めの火一族の騎馬王国への復帰を賭けて戦うことになります。前回は月兎馬(つきとば)という、めっちゃ速い品種の馬に乗ってのレースだったのですが、今回はテールトルテュエ種という帝国で軍馬として使われている馬。しかもどこかぬぼーっとした見た目だし(ミーア談)足も特に速くない。そんなミーアと馬が挑む相手は、騎馬王国のご令嬢、小驪と騎馬王国の人たちも認める月兎馬の名馬。そんな彼らにミーアたちはどう挑むのか。

こういうレースものってやっぱりワクワクしちゃうんですよねえ。

「混沌の蛇」とは何か

度々出てくる「混沌の蛇」そして世界を混沌に陥れるマニュアル「地を這う者の書」。

「地を這う者」とはその世界の弱者、敗者のこと。

そして、世界を憎み、壊したいと願い、実際に秩序を破壊する側に回ってしまった人たちやコミュニティのことを「蛇」と呼ぶらしい。
大体構造は分かったのですが、資金どっからきてるんやろ…?
ラノベ愛読してるけど、すでに結構な年の大人なのでそういうところがどうしても気になってしまう。事実バレンティナもお金に困ってなかったし、結構高価なお茶菓子をシュトリナと愉しんだりしてましたしね。
かつてのソ連は「労働者の天国を作るんだ!」と言いながら口先三寸でアメリカとか資本主義の金持ちにたかっていましたが、蛇も勝者にたかって資金引き出したりしてるんやろか…。

バレンティナはなぜベルを選んだのか

最初はミーアを絶望させるためにアベルを暗殺しようとしていたバレンティナ。ですが、だんだんターゲットがずれていき、最終的にはシュトリナに解毒薬をのませようと駆け寄ったベルを手にかけます。
シュトリナだけを殺すだけでも良かったのでは?と思うのですが「蛇」の目的の1つは絶望する者を増やすこと。シュトリナだけを殺すより、助けに来たものを目の前で殺したほうが威力倍増。憎しみが、絶望が増える→「蛇」になるものが増える。

いや、もうめっちゃ外道やん。

それもあるのですが、読みすすめていくとバレンティナはもう「蛇」としての生活に疲れていて、誰でもいいので自分に引導を渡してほしかった部分もあるのでは?と思いました。
何か投げやりな態度だったし。別に自分がいてもいなくても「蛇」がなくなるわけではないし、自分も大きな流れの一部なんだって考えると投げやりになってしまうのは分からなくもないですが。
だとしても、バレンティナのしたことは年端もいかない、なんの罪もない子どもに手をかけるということで、決して許されることではないのですが。

あなたの夢は、わたくしが終わらせませんわ

身内を殺され、内戦で荒廃した帝国からタイムリープしてきたミーアベル。バレンティナに弓で射られたことで、未来に戻ってくるわけですが、戻ったベルが目にしたのは、タイムリープする前と同じ、荒廃した帝都…。

今までのこと…ミーアのもとでの楽しい生活はやっぱり夢だったんだ…。

絶望しかけるベルが見たものは…。
一番ドラマチックなシーン。出来たら映像化して見たい。