逆玉の主人公が周りの人々の縁を取り持つ市井小説
仕出し屋に婿入りした、楊枝屋の四男坊の鈴之介と、婿入りした逢見屋の人たちのお話。
主人公の鈴之助は、仕出し屋のお嬢さんと恋仲になり、逆玉で逢見屋に婿入りしたのはいいけれど、婿入りした逢見屋は女性が代々主を務め、男性はおまけみたいな存在。義父は頼りなく、義理の祖母は頑固、義理の妹たちには拒否される、まさに居場所がない状態。
一瞬だけその境遇に腐った鈴之助だったけど、持ち前の素直さとコミュ力で?周りと打ち解けて困りごとなんか解決していき、人と人とを結びつけていく、そんなお話。
よくある性格、それがいい
主人公の鈴之助は、平凡で人の良い性格ではあるんだけど、嫉妬もするし余計なことも言っちゃうし、すぐもらい泣きなんかしちゃう。身近にいそうなキャラクターだからかとても好感がもてる。でも、芯のところはしっかりしていて、困った人たちにちゃんとアドバイスなんかも出来ちゃう。
同じく西條奈加さんの「善人長屋」の時は、そこに出てきたのはホンマモンの迷惑なくらいの「善人」で、善人すぎるあまり周りが振り回されちゃうってところが面白かったんだけど。
江戸のお話はやはり料理!
あと、江戸の仕出し屋が舞台なせいもあって、出てくるお料理がみんな美味しそう!途中で立ち寄るお茶屋さんのお菓子も美味しそうだし、やっぱり江戸のお話に美味しい食べ物は欠かせないよね!と思った。
このお話、1巻で終わりなのかなあ。
1巻だけで終わるのは物足りない!ぜひ続いてほしいな。